みんなの党(秋元かおる区議)

@目黒区がこの3月に発表した地域防災計画では、「『自助』『共助』『公助』の適切な連携」を掲げています。しかし、これには、「『自己責任』を住民に押し付けるもの」との反対意見と、「ある程度の自己責任、自己負担は必要」との賛成意見が聞かれます。これに対するお考え方をお聞かせください。

(回答)

 「自助」、「共助」、「公助」とは対立する概念ではなく、時間軸で考えなくてはいけない概念です。
家具の転倒防止や家庭で日頃から災害に備えたり、自分で守る準備を指す「自助」とは、被災後に当面3分を生き残る為の努力の事であり、初期消火活動など地域の被災拡大を防止する為の「共助」とは被災後3時間を生き抜く事を目的とする概念です。消防・警察による救助活動や支援物資の提供など、公的支援による「公助」は被災後3日目以降を生き抜く事を目的とする概念です。
つまり、役割が異なる概念である為に、対立して考えるのではなく、時間軸の中で上手に連携出来る仕組みを考えるべきです。被災したときに、消防や自衛隊等公共サービスが来てくれる事はありません。時間軸で「自助」、「共助」、「公序」と円滑に連携する事が出来るのが理想ですが、被災時には混乱が想定されます。そういった場合に保険として連携の不備をどこまで乗り越えられる準備が出来るのかは自己責任の部分と考えています。


A大地震への備えや、実際に災害が発生した時に、行政や地域(住民組織など)が取るべき対応で最優先すべきことは何でしょうか。防災問題でとくに重視していることや、特別に力を入れている政策、対策などがあればご教示ください。

(回答)

 「支援物資の円滑な配分体制の構築」を最も重視致します。
災害が発生した場合には、その時間、規模、内容により対応すべき事を全て想定し準備する事は出来ませんが、「避難所運営」は避けて通れません。
被災後3日間の備蓄は準備出来ていますが、3日目以降の避難生活は各地から届く支援物資に頼る事になります。東日本大震災に於いても大きな課題となりましたが、水など支援物資が充足しているにも関わらず、各地から届き倉庫に使われない水であふれかえっている一方、僻地の避難所では本当に必要な物資が届いていないという光景を目の当にしました。各自治体や赤十字等を通じた支援物資を一カ所に集め各避難所に分配するというオペレーションは必要になりますが、避難所毎に特有の問題(新しくできたマンションの近くであれば乳幼児が多い事など)に対して必要な支援物資を適宜配分できるのか。避難所における支援物資の管理体制はもちろんですが、行政や避難所だけではなくボランティア組織を含めた双方向による支援物資の情報のやり取りが出来る体制構築が必要と考えます。


B目黒区には進学校などが多いこともあり、防災問題では、他区以上に、「学校と地域の連携」の大切さが指摘されています。しかし、現状では、学校と地域の意思疎通が十分とは言えないとの声を聞きます。もし、日中に大地震が起きた場合、生徒・学生は帰宅させるのか、あるいは地域で何らかのボランティア活動に参加させるのか、などについて各学校の具体的な対応策が一般の住民にはあまり知らされていません。この問題に対するお考えをお聞かせください。

(回答)

 地域防災計画の中では全ての小中学校が「一次避難場所」として地域の避難場所になります。学校に通う子ども達は両親など関係者が引き取りに来るまでは学校で保護する事になります。
避難所毎に避難所運営マニュアルが策定され、運営組織も構築される事になり整備されることになりますが、大切なことは日ごろ地域活動に参加していない家庭も積極的に出来る事を行うという気持ちとそれを拒まない避難所運営組織の関係性が重要かと思います。


C防災対策は住民組織なしに成り立ちませんが、目黒区では町会と住区組織の2種類の組織があります。この二重構造とくに、住区に対しては「官制コミュニティー」「屋上屋」との否定的な受け止め方もあるようです。住民組織のあり方と、これへの行政のあるべき関わり方についてお考えをお聞かせください。

(回答)

 住区組織は目黒区独自の組織であり、その構成員を見ても町会組織との重複は否めません。近年の現状を見てみると、町会への加入率や自然減による構成員の減少傾向を止める事は難しく、地域の?がりを維持する為に町会を統合し住区組織に寄せる事も検討すべきと考えます。(XX住区○○支部など)
一方、住民組織と行政という関係性でいえば、高齢者への見守り等、従来は地域社会の中で対応してきた部分が困難になっている現状があります。
そこで、地縁よりもテーマや課題を基礎に編成されるNPO等の住民組織が円滑に活動できる為の仕組みを構築すべきと考えます。 現状では補助金によって住民組織が維持されてきた面がありますが、地域活動に従事出来る専門的知見をもつNPOに対して地域住民が住民税の一部を寄付する事で援助する体制を構築する事も検討すべきと考えます。