共産党(岩崎ふみひろ区議)

@目黒区がこの3月に発表した地域防災計画では、「『自助』『共助』『公助』の適切な連携」を掲げています。しかし、これには、「『自己責任』を住民に押し付けるもの」との反対意見と、「ある程度の自己責任、自己負担は必要」との賛成意見が聞かれます。これに対するお考え方をお聞かせください。

(回答)

災害に対して区民が自分の命や財産を自分で守る、また地域で互いに助け合って守るのは言うまでもありませんが、同時に区民一人ひとりや地域の取り組みには限界があります。防災において行政の役割は欠かせません。ところが、「自助」「共助」をことさら強調する背景には、「公的機関の防災対策には限界がある」などと、行政の役割を放棄しようという姿勢があります。
今回の国の指針や東京都や各自治体の地域防災計画の修正を見ても、まず「自助・共助の推進」が第一に掲げられ、「『自らの生命は自らが守る』という自己責任による自助の考え方」を第一の理念に掲げられ、行政の役割が後景に追いやられているのが特徴です。
東京都の住宅の耐震・耐火への助成は、対象も額も極めて少ないものにとどまっていて、この6年間で都の助成件数は約480件、静岡県の1万100件の21分の1にすぎません。
命を守るのは第一に「区民の自己責任」とする立場を改め、住宅の耐震化、不燃・難燃化への助成を抜本的に拡充するなど、行政の力による震災予防対策を中心に据えるべきだと考えます。


A大地震への備えや、実際に災害が発生した時に、行政や地域(住民組織など)が取るべき対応で最優先すべきことは何でしょうか。防災問題でとくに重視していることや、特別に力を入れている政策、対策などがあればご教示ください。

(回答)

首都直下型地震などによる目黒区の被害想定では、揺れによる建物の倒壊や火災延焼などを原因とする人的な被害が多数、予想されます。直下型地震であった阪神淡路大震災で犠牲になった8割以上は、建物の倒壊などによる圧迫死などであり、この方たちは身を守ったり逃げ出したり、助けあう余地などありませんでした。同じような被害が想定される目黒区では、家具の転倒防止やなどの個人や地域での備えとともに、行政による住宅の耐震化、不燃・難燃化への助成を抜本的に拡充するなどの対策強化が必要です。
また、原子力災害対策として、浜岡原子力発電所での原子力緊急事態の発生を想定し、その重大な影響から都民の生命および財産を守るための計画または指針を策定すること、および浜岡原発の廃炉を明確に打ち出すこと、東京大学や東京工業大学など原子力の研究機関がある施設の安全性について区としても十分に把握し、研究機関とも連携して十分な対策を明記すること、などの対策が必要だと考えます。


B目黒区には進学校などが多いこともあり、防災問題では、他区以上に、「学校と地域の連携」の大切さが指摘されています。しかし、現状では、学校と地域の意思疎通が十分とは言えないとの声を聞きます。もし、日中に大地震が起きた場合、生徒・学生は帰宅させるのか、あるいは地域で何らかのボランティア活動に参加させるのか、などについて各学校の具体的な対応策が一般の住民にはあまり知らされていません。この問題に対するお考えをお聞かせください。

(回答)

学校における防災教育の重要性はいうまでもありませんが、学校として災害が起きた時の対策をきっちりとることが必要だと考えます。
現在、区立小中学校で学校選択制が実施されています。それにより、地域の児童・生徒が、他地域の小中学校に通う場合があり、地域や町会で子どもを把握できないといった状況もあり、学校選択制は学校と地域の連携強化のためにも廃止すべきです。
また、区立中学校の統廃合は1中学校あたりの通学区域が広がってしまうことになり、学校と地域の連携を弱くしてしまうばかりか、ただでさえ区内の避難場所が少ないのに、統廃合によって第一次避難場所としての機能が奪われてしまうことになります。区立中学校の統廃合は防災の観点からもやめるべきです。


C防災対策は住民組織なしに成り立ちませんが、目黒区では町会と住区組織の2種類の組織があります。この二重構造とくに、住区に対しては「官制コミュニティー」「屋上屋」との否定的な受け止め方もあるようです。住民組織のあり方と、これへの行政のあるべき関わり方についてお考えをお聞かせください。

(回答)

住区住民会議については、その発足当時、私たちはまさに「官制コミュニティー」であり「屋上屋」を重ねると批判し反対しました。実際、町会によっては3つの住区に属しているところもあり、町会活動がしにくいなどの声も出ています。
住区制度については今後どうしていくのか、区民のなかでよく論議することが必要だと考えます。また現在、区民の福祉や見守りなど包括支援センターを核に進めていく方針を区は示しています。福祉、子育て、防災を一体的に進めていくうえで、どういう地域コミュニティーの単位が望まれるのか、再編が必要かどうかという議論を住民と行政が一体に進めていくことが必要です。
住区センターの会議室など、地域団体にとって必要な施設ですので、住区の在り方、再編については拙速にすすめるのではなく、十分に区民意見を聞く期間を設けるなど、慎重に対処することが必要です。